一粒に込めた技と想い ― 南部町・留長果樹園が育てる「ジュノハート」
弘前大学は南部町と連携協定を締結し、活力ある個性豊かな地域社会の形成と発展に向けて様々な取組を進めています。そのつながりをきっかけに、創立80周年記念事業では、南部町で果樹栽培に取り組む留長(とめちょう)果樹園に、返礼品の提供でご協力いただいています。
今回紹介するのは、青森県オリジナルのさくらんぼ品種「ジュノハート」です。
南部町農林課は、ジュノハートについて次のように話します。

そのこだわりを伺いに、南部町の留長果樹園を訪ねたのは初夏の5月末。
果樹園では、温室栽培のさくらんぼの出荷作業が行われていました。
収穫時には、赤く十分に色づいた実を摘み取ります。箱詰めの段階では大きさごとに選別し、一粒ずつ丁寧に並べていきます。贈答用として化粧箱や桐箱に並べられるジュノハートは3Lサイズ以上(3Lサイズ=横径28mm以上)。
最大級の5Lサイズともなると、思わず目を見張る大きさです。
濃いルビー色の果実は、たっぷりと水分を含み、宝石のような輝きを放っていました。
必要以上に触れないのがプロの技。わずかな接触でも傷みにつながり、味にも影響するからです。無駄のない手さばきには、長年培われた経験がにじんでいました。


ジュノハートの魅力は、その大きさと美しいハート形、そして濃厚な甘さです。しかし、その品質は自然に生まれるものではありません。一本の木に実らせる数を「摘果」で調整し、一粒一粒に十分な養分が行き渡るよう管理します。温度や水分の管理も欠かせません。
今年からは、井戸水を活用した散水装置も整備しました。温室や露地栽培の園地まで水を引き、必要な場所へ水を送る仕組みです。園主の留目秀樹(とどめ ひでき)さんが自ら工夫を重ねながら整えたものだといいます。おいしい果実づくりへのこだわりは、こうした設備にも表れていました。

一方で、相手は自然です。
冷たい東風「やませ」によって実が割れることもあれば、その後の冷涼な気候が実を長持ちさせることもあります。自然は思い通りにならないからこそ、日々の見極めが求められます。
留目さんの言葉が印象に残りました。

こうして育てられた実は、収穫の翌日に届くよう出荷されます。鮮度を保つためのスピードと丁寧な扱い。その積み重ねが品質を支えています。
取材中、留目さんご夫妻は栽培の工夫から地域の話題まで、たくさんのことを教えてくださいました。その明るく親しみやすい人柄も、留長果樹園の魅力です。

ジュノハートは県のトップセールスやメディア露出をきっかけに、首都圏でも知られる存在になってきました。南部町でも地域を代表する特産品の一つとして、ふるさと納税の返礼品にも取り入れています。
取材の中で留目さんは、ジュノハートをこう表現していました。
青森県南部地域ならではの気候と、生産者の経験。そして絶え間ない工夫。そのすべてがおいしさを支えています。
旬の時期だけに出会える「夢のようなさくらんぼ」。
南部町・留長果樹園のジュノハートは、豊かな自然と確かな技術、そして生産者のまっすぐな思いによって育まれる、まさに珠玉の一粒です。
